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飲食店の照明は「居心地」をつくる|集客につながる照明計画とは

2026/09/09

この記事の監修者

中原 優介

中原 優介

株式会社nero 代表。 福岡・東京エリアを中心に店舗デザイン・空間設計のプロフェッショナルとして美容院や飲食店、オフィスなど全国の多様な空間をプロデュース。 洗練されたデザインと実用性を兼ね備えた「価値ある空間」を追求し、ジャンルを問わず幅広い分野でクリエイティブな提案を行っている。

どの業種のお店でもそうですが、店舗全体の雰囲気は「照明」で7割決まってきます。

それだけ、照明計画は店舗づくりにおいて重要な要素となります。

飲食店の開業を目指す場合、理想の内装イメージを抱く一方で、照明の種類や照度、配置計画をどのように組み組み立てるべきか判断に迷うケースは少なくありません。

「おしゃれな空間に仕上げたい」という意匠面だけでなく、提供する料理をおいしく見せる光のあて方や、スタッフが安全かつ効率的に働ける実用性をどのように両立させるかという課題が存在します。

本記事では、飲食店の照明が与える影響をはじめ、目的別・エリア別の照明計画、陥りやすい失敗例から施工事例、neroが重視する照明設計の考え方まで解説します。

 

店舗デザイン・設計施工の株式会社nero

neroは、店舗・オフィス・住宅など多様な空間を対象に、企画設計から施工、ブランディング、販促・Web・SNSまで一貫して手掛ける空間プロデュース会社です。ブランドの世界観を空間に反映し、集客や繁盛店づくりを支援。社名には「信念を持ち社会貢献する」という想いが込められています。

飲食店の照明は「明るさ」ではなく「体験」を設計する要素

飲食店の照明計画は、単に店内を暗くさせないための設備工事ではありません。

光の量や色合い、照射角度をコントロールすることで、お客様の感情や行動、滞在時間をコントロールする「体験設計」の側面を持ちます。

また、店内の意匠や家具の質感を効果的に引き立て、食事が提供される時間そのものを価値ある体験へと昇華させるための重要なインテリア要素となります。

 

照明が店舗の第一印象を左右する

ファサードや窓越しに見える店内の光は、通行人に対して店舗の存在をアピールし、入店を促す最初のきっかけとなります。

また、店内から漏れる光のトーンは、店舗のコンセプトやブランドの立ち位置を瞬時に伝達します。

照度が高く明るい空間は活気や親しみやすさを演出する一方で、光量を抑えた落ち着いた光は高級感やプライベート感を創出します。

光の設計次第で、通行人に与える印象は大きく変化します。

 

居心地や滞在時間にも影響する

照明の明るさや、光の色合いを指す色温度(K:ケルビン)は、人間の副交感神経や心理的快適性に影響を及すといわれています。

例えば、適度な陰影が保たれた空間はお客様の緊張を和らげ、長時間の滞在を促す効果が期待できます。

短時間で高い回転率を目指すファストフードや大衆居酒屋と、ゆったりと料理と会話を楽しんでもらう滞在型のレストランとでは、求める照度レベルが異なります。

提供する飲食体験の方向性に合わせた照明計画が必要です。

 

目的別に考える飲食店の照明計画

照明を設置する際は空間全体を均一に照らすのではなく、「何を魅せたいか」「どのような時間を過ごしてほしいか」という目的に応じた光の選択が求められます。

 

料理をおいしく見せる照明

料理の魅力を引き出すためには、光源が物の色をどれだけ自然に再現できるかを示す指標である「演色性(Ra)」への配慮が不可欠です。

高演色なLED照明(Ra90以上が目安)を採用することで、食材の鮮やかな色味や油脂の質感が美しく再現されやすくなります。

また、天井からの全体光だけでなく、テーブル面を集中的に照らすスポットライトやペンダントライトを併用し、料理の上に適度なハイライトを作る照度設計が効果的です。

 

居心地を演出する照明

お客様に落ち着いた居心地を提供するためには、直接照明と間接照明の組み合わせが基本となります。

例えば、壁面や天井に光を反射させる建築化照明をベースに据えることで、空間全体に柔らかいグラデーションが生まれます。

また、テーブル席ごとに独立した低めのペンダントライトを設置することで、光による目えない境界線が形成され、隣席とのプライバシー感が保たれます。

ランチ営業とディナー営業を行う店舗では、昼の自然光と夜のムードに合わせて照度を変更できる「シーン設定(調光・調色機能)」の導入が欠かせません。

 

店舗の個性を伝える照明

デザイン性の高いペンダントライトや壁面に取り付けるブラケットライト、足元を照らすフットライトなどは照明機器としての機能に加え、インテリアのアクセントとして大きな存在感を放ちます。

ガラス、真鍮、和紙、スチールなど、照明器具の素材感や意匠を内装全体のテイストとリンクさせることで、空間の個性と世界観がより強調されます。

 

エリアごとに押さえたい照明のポイント

飲食店はファサードや客席、レジ、厨房といった異なる機能を持つエリアに分かれます。

それぞれのエリアの役割に応じた明るさと色温度の設定が求められます。

なお、色温度は数値が低いほど赤み・暖かみが強く、高いほど白っぽく青みが増します。

 

ファサード・入口

店舗の顔となるファサードやエントランスは、外の街頭照度とのバランスを考慮しつつ、入店しやすい安心感を演出する光の配置が求められます。

看板灯やアプローチの間接照明を活用し、店内の雰囲気を外へ優しく伝えることで、通行人の心理的ハードルを下げるアプローチを行います。

 

客席

客席エリアはお客様が最も長い時間を過ごす場所であり、居心地と料理の見え方が最優先されます。

飲食店で使用される色温度は、赤みや温かみが強くリラックス効果の高い「2700K〜3000K(電球色)」が標準的です。

より柔らかく温かみのある雰囲気を演出したい場合は「2400K〜2700K」の低めの色温度に設定し、くつろぎ感を高めましょう。

 

レジ・受付

金銭のやり取りや次回予約の確認を行うレジ・受付エリアは、金銭授受のミスを防ぐための適正な手元照度が必要となります。

ただし、客席エリアのムードと乖離しないよう、光量を部分的に絞るか、カウンター内部のみを明るく照らすスポット配置を行い、店内全体とのデザイン的統一感を保ちます。

 

厨房・バックヤード

調理や盛り付け、仕込み、洗浄を行う厨房では、衛生管理や作業性、安全性を最優先とした照明設計を行います。

包丁や熱源を扱うため、十分な明るさの確保が必須です。具体的には、手元がはっきりと見え、食材の状態や異物混入を正しく判別できる「4000K〜5000K(白色〜昼白色)」の色温度がよく採用される傾向にあります。

これに加え、厨房・バックヤードは水蒸気や油分が付着しやすい環境のため、防水・防塵性に優れ、清掃が容易な器具選定も必須です。

 

飲食店の照明で失敗しやすいポイント

施工後に「イメージと違う」「作業がしづらい」といった不具合が発生しないよう、計画段階で陥りやすい失敗パターンを把握しておく必要があります。

 

デザインだけで照明器具を選ぶ

見た目のインテリア性のみでペンダントライトや器具を選定してしまうと、実際の照射範囲や明るさが不足する事態に陥ります。

卓上が暗くなりすぎてせっかくの料理がくすんで見えたり、メニューの文字が読みにくくなったりするため、光量や配光角度の数値を伴う確認が不可欠です。

 

店内全体を均一に照らしてしまう

オフィスやコンビニエンスストアのように、天井全体にベースライトを配置して均一な明るさに仕上げてしまうと、空間の立体感やメリハリが失われます。

明暗の対比(陰影)が存在しないフラットな空間は、落ち着きや高級感を演出しにくいため、必要な箇所に必要な分だけ光を置く配光計画が求められます。

 

昼と夜の見え方を考慮していない

昼間の自然光が大きく差し込む時間帯と、周囲が暗くなる夜間の時間帯では、同じ照明器具であっても空間の見え方が変化します。

昼間の明るさに合わせた設定のまま夜を迎えると店内が暗すぎたり、逆に夜間の調光機能がないために昼間の雰囲気が損なわれたりするため、自然光との調和を計算した時間軸での計画が必要です。

 

飲食店の照明施工事例

株式会社neroが手がけた飲食店・バーの施工事例の中から、光の制御によって魅力的な空間演出を実現した実例をご紹介します。

 

事例1:Qoomo

Qoomoでは、オープン厨房を囲むカウンター上部にアクセントとなるペンダントライトを配置し、活気のあるアイキャッチを形成しました。

 

テーブル席では卓上の料理をピンポイントで照らしつつ、背景の壁面には柔らかい間接照明を設置することで、賑やかさと居心地の良さが同居する空間構成を実現しています。

 

事例2:GEORGES MARCEAU

GEORGES MARCEAUでは、料理の色彩を引き立てる高演色なスポットライティングと、上質な壁面テクスチャを浮かび上がらせる間接照明を統合しました。

 

テーブル面の照度を適切に保持しながら、周囲の光量を適度に落とすことで、プライベート感のある上質な食事体験を提供する光の環境を作り上げています。

 

事例3:BAR UNIT

BAR UNITでは、色温度の低いシックな照明計画を採用しました。

バックバー(酒棚)に仕込まれた間接照明がボトルのグラデーションを浮かび上がらせます。

 

カウンター面の手元には必要最低限の温かな光を落とし、空間全体に深い陰影を作り出すことで、日常を忘れてお酒を楽しめる大人の隠れ家的な演出を叶えています。

 

 

照明まで提案できる店舗デザイン会社を選ぶポイント

飲食店の内装において照明は独立した要素ではなく、建築や仕上げ素材、家具と密接に連動します。

そのため、総合的な視点で照明計画を組み立てられるパートナーの選定が重要となります。

 

照明計画を内装デザインと一体で考えられるか

単に照明器具のカタログから選定するのではなく、使用する壁材の反射率、床の素材、造作家具の陰影までを計算に入れてデザインを行える会社かどうかがポイントです。

空間の素材・色・家具の配置と光の当たり方をトータルでバランス調整できる会社を選ぶことで、完成度の高い店舗が生まれます。

 

店舗運営まで考えた提案ができるか

営業時間帯による調光の運用、スタッフの配膳動線、清掃時の明るさ確保など、実際の店舗営業における使い勝手を考慮した提案ができるかを精査します。

営業中のムード演出と開店前・閉店後の作業性が考慮されたレイアウト・回路分けがなされているかが判断基準となります。

 

施工後のイメージまで共有できるか

平面図や展開図だけでは、光の広がり方や陰影のニュアンスを事前に把握することは困難です。

CGパースや照明シミュレーションを活用し、完成時の雰囲気を視覚的に共有できる会社かどうかが重要となります。

光の見え方を事前に確認・調整できる環境が整っていれば、施工後のイメージのズレを未然に防ぎやすくなります。

 

飲食店の照明は店舗の魅力を引き出す空間設計の一部

飲食店の照明計画は、単に店内を照らすためのものではなく、お店の第一印象から料理の魅力、お客様の居心地や滞在時間までを形づくる重要な空間設計の要素です。

ファサードでの見え方から、客席・厨房・レジといったエリアごとの適切な色温度や照度の選定、昼夜の営業シーンに応じた調光コントロールまで、目的と機能に応じた光をバランスよく配置することが店舗の価値を高めます。

弊社では、人が食事や作業を行う場所(タスク)と、その周囲の環境部分(アンビエント)を明確に切り分け、必要な場所だけを効果的に照らす手法を重視しています。

空間全体を闇雲に明るくするのではなく光と影のメリハリを生み出すことで、インテリアを構成する木目や左官、石材といった素材のテクスチャがより一層美しく引き立たせます。

さらに、必要なポイントに絞って配光する設計は、設置する照明器具の台数削減にも繋がり、電気工事費や将来のランニングコストを抑えられる実質的なメリットをもたらします。

デザイン性と現場の実用性、そしてコストパフォーマンスを高次元で両立させた照明計画をご提案いたしますので、飲食店の新装・リニューアルをご検討の際はぜひお気軽にご相談ください。

店舗デザイン・設計施工の株式会社nero

neroは、店舗・オフィス・住宅など多様な空間を対象に、企画設計から施工、ブランディング、販促・Web・SNSまで一貫して手掛ける空間プロデュース会社です。ブランドの世界観を空間に反映し、集客や繁盛店づくりを支援。社名には「信念を持ち社会貢献する」という想いが込められています。

この記事の監修者

中原 優介

中原 優介

株式会社nero 代表。 福岡・東京エリアを中心に店舗デザイン・空間設計のプロフェッショナルとして美容院や飲食店、オフィスなど全国の多様な空間をプロデュース。 洗練されたデザインと実用性を兼ね備えた「価値ある空間」を追求し、ジャンルを問わず幅広い分野でクリエイティブな提案を行っている。

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